フラクタル画像を用いた早期肺がん自動セグメンテーション研究の紹介と当社技術への応用について

AI技術による放射線治療計画支援サービスの開発・事業化を行うアイラト株式会社(本社:宮城県仙台市、代表取締役:木村祐利)は、東北大学大学院医学系研究科放射線腫瘍学分野および山梨大学の研究チームが発表した新しい転移学習フレームワークに注目しています。
本研究では数学的に生成されたフラクタル画像で自己教師あり学習を行うことで、従来の ImageNet 事前学習モデルよりも高い精度で早期肺がんの Gross Tumor Volume(GTV)自動セグメンテーションを実現したと報告されています。
論文では、Vision Transformer (ViT) モデルにおいて FractalDB‑10K で事前学習した場合の vDSC が 0.800±0.079、HD95 が 2.04±1.59 mm となり、ImageNet‑1K で事前学習したモデルの vDSC 0.764±0.102、HD95 3.03±3.47 mm を大きく上回る結果が示されました。
特に腫瘍形状が複雑な症例での精度向上が顕著であり、フラクタル画像が腫瘍と同様の自己相似性を持つことが寄与していると考えられています。
この成果は、当社が開発中の放射線治療計画支援システムにおいて、自動輪郭抽出アルゴリズムの精度向上と学習効率化に活用できると考えています。
東北大学・山梨大学の研究で示された技術や知見を自社アルゴリズムの改良に取り入れ、より高精度で効率的な治療計画を提供できるよう努めます。
今後も当社は、最新の学術研究や技術トレンドを積極的に取り込み、患者様と医療従事者が安心して利用できる放射線治療AIの開発に邁進してまいります。
論文の詳細は以下をご参照ください。
論文情報
- 論文名:Fractal‑driven self‑supervised learning enhances early‑stage lung cancer GTV segmentation: a novel transfer learning framework
- 著者名:Ryota Tozuka, Noriyuki Kadoya, Arata Yasunaga, Masahide Saito, Takafumi Komiyama, Hikaru Nemoto, Hidetoshi Ando, Hiroshi Onishi, Keiichi Jingu
- 雑誌:Japanese Journal of Radiology (Original Article)
- リンク:https://doi.org/10.1007/s11604-025-01865-8